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「8020運動」は介護予防にも重要

「8020(ハチマルニイマル)運動」という言葉を聞かれたことがあると思います。これは「80歳で自分の歯を20本残し、なんでもよく噛める快適な状態に保とう」という運動です。歯や口の健康は、美味しく食べたり人と会話を楽しんだりするなど、豊かで質の高い生活を送るためにとても重要です。しかし、最近の全国調査では、60歳代で平均16本、70歳代で平均8本、80歳代で平均4本の歯しか残っていないという結果が出ています。また、介護保険の介護度認定で要介護度の高い人には、残存している歯が少なく咀嚼機能が低下している人が多いというデータもあります。
人の歯の多くは、若い頃はむし歯によって、そして成人以降は歯周病によって失われていきます。歯周病はあまり痛くならないのに一度にたくさんの歯がだめになってしまうため、十分な注意が必要です。しかし特に高齢者の場合、口内を清潔に保つことはなかなか難しいのです。加齢に伴う生理的変化の中で歯が抜け、残っている歯の歯並びが乱れるなど、口腔内環境に変化が生じ、次第に口腔清掃能力が低下し口腔ケアはおろそかになってしまいます。
また、近年、肺炎と口腔内常在菌の関連が注目されています。1mlの唾液の中には1億個、1gの歯垢の中には1000億個というように、口の中にはたくさんの細菌がいると言われています。このような口腔内の細菌が気管支や肺に入り込んで起きる誤嚥性肺炎と呼ばれる疾患は、抵抗力が低下した高齢者には致命的ともなり得ます。
毎日の口腔ケアを適切に行うことで、口腔内の細菌数は10分の1から100分の1にすることができます。さらには唾液腺を刺激して唾液の分泌を促進したり、口の周りの筋肉をマッサージすることになるので、誤嚥そのものを減らす機能訓練の効果もあると言われています。


東京都福祉局:平成12年度東京都「かかりつけ歯科医意見書」
活用モデル事業に関する分析報告書より